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二宮を去る その3

藤沢駅の南口、つまり海側で駅から徒歩12分の物件の内見アポを取り、教えてもらった住所をGoogleマップに入れて探すが、見つからない。
不動産屋に電話すると事務員らしい女性が出て、メールで届いた住所の最後の番地が欠けていることが発覚。こりゃ見つかるわけがない、幸先が悪いわな・・。「今、担当はそちらに向かっているので、間もなく着くと思います」と言われるが、待つこと15分、車でやって来たのはヤル気のなさそうな30代半ばくらいの男性で、鍵を開けて私たちを中に入れた後は、アパートの玄関外でぼーっと突っ立っているだけである。
あんた、ちょっと、この物件のおすすめポイントとかアピールしないんかい?と言いたくなるが、こっちが言わなきゃ何もしない営業マンからは、ロクな情報が出て来ないだろう。

2LDKのわりと新しいアパートで、1階だけど敷地が前面道路より高くなっていて、柵もあるので、道路を歩く人から家の中を見られる心配はなさそうだ。一室は和室なのでそこを私が使い、もう一つの洋室を息子の部屋にしようかな、なんて思っていたら、息子は一言「こんな狭い家、イヤだ」!!
二宮の実家は6LDKなので、息子と私はそれぞれ3部屋ずつ使っていた・・というのはウソだが、しかし、あの広い家と比べられてもねぇ。

ヤル気ナシ君には、「ちょっと考えて連絡します」と伝えるが、ほぼ無反応であった。他にも内見希望者が何人もいるんだろうな、きっと。

他にもう一つネットで見つけて気になっていた物件があった。ただ、こちらも一階で、しかも掲載されている間取り図と写真から判断すると和室の掃き出し窓が道路に面していて、策もない。防犯とプライバシーを考えるとちょっと厳しい・・、洗濯物も干せないし。
駅から9分の3DKで、収納スペースも多く(各部屋に押入れ一間分の収納が付いている)、しかも軽自動車限定の駐車スペースもある(私の車は軽です)。二階だったら即決なんだけど、いや、一階だから借り手が決まらないのか・・。
と、ごちゃごちゃ考えていても仕方ない、まだ時間も早いし、どうせ藤沢まで来てるんだし、もし可能なら内見だけでもするか、とアパート名と取扱っている不動産屋の住所はメモしておいたので、直接訪れることにした。

その不動産屋の受付には感じのいい60代と思しき女性がいて、アパート名を告げ、内見したいと言うと、奥にいたその方より少し年上の男性に「今、内見できるかしら」とすぐに聞いてくれる。そして夫さんらしいその男性がすぐに車で私たちをアパートまで連れて行ってくれる。
なんか、いい流れだぞ。

と、そのアパートに上がり、まずは玄関脇の洋室を覗き、「ここが剣ちゃんの部屋になるかな?」と声をかけると息子は「この家は匂いがいい」と好反応であった。
築30年近いアパートだが、安普請ではない、造りのしっかりした印象がある。
ダークブラウンのフローリングは天然木っぽく、壁のクロスは淡いベージュで、落ち着く雰囲気だ。
北側洋室には北向き窓の他、天井隅に小さな窓(天窓!)が付いていて、部屋が明るい。
ただ、この部屋と和室の間にあるダイニングキッチンは窓がなく、日が入らないのが残念。それでもこの家の中で、玄関とダイニングキッチンの間のドアだけは2mと高めの格子ガラス戸が使われているので、少しでも明るくなるように工夫したのだろう。両側の部屋とはいずれも二枚引き違い戸で仕切られているので、戸を開けておけば、閉塞感もないし。
トイレ、バスルーム、脱衣所には換気に便利なルーバー窓があり、ちゃんと外側には防犯用面格子が、内側には網戸が施されている。テレビモニター付きドアホンも設置してある、・・細かい配慮がされているアパートかも。

で、問題の道路に面した掃き出し窓であるが・・、前の道路は狭くてほとんど車が通らず(でも、一方通行ではない)道を隔てた向かいの建物には「内科医院」の看板が。いわゆる自宅兼医院で、掃き出し窓の前には自宅の門がある、つまり医院の入口ではないので、人(患者さんね)が絶えず出たり入ったりする訳ではなく、静かだ。それにお向かいが医院だなんて、何となく安心できるではないか。

さらに、このアパート、同じ敷地内に一人暮らしの女性大家さんの住む一軒家が立っているのだ。ってことは、仮に外出先でアパートの鍵を無くしても(そんなことは滅多に起こらないだろうけど)、大家さんに開けてもらえるのだ。
しかも、駅徒歩9分(車に乗っけてもらったので、実際に確かめていないが)・・、掘り出し物かも。

不動産屋の夫さんが、駅に向かう大通りまで歩いて案内してくれて、(ヤル気ナシ君とはえらい違いだ)途中にあった一軒家の庭にいたお爺ちゃんに会釈をし、「大家さんのお兄さんですよ」と教えてくれる。おお、家族も近くに住んでいるなら、さらに安心・・かな?
「お隣の部屋のご夫婦は、このアパートが建った時から住まわれているんですよ」。じゃ、居心地がいいんだな。そう、こういう不動産屋ならではの情報が借りる側としては興味があるんだよ!と言ってやりたい、ヤル気ナシ君に。

息子に「気に入った?ここに住みたい?」と尋ねると、「うん!」と即答であった。
「ここ、借りたいです」と不動産屋に伝え、事務所に戻って手続きをすることに。

入居申込書と保証委託申込書に必要事項を書きながら、ここでまた、父が亡くなり実家を売りに出すこと、自分はフリーランスでコロナのせいもあり収入が少ないので、保証会社の審査に通るかどうか心配なこと云々を正直に話す(何れにせよ仕事のことは申込書に書かなければならないし)。

息子もアパートが気に入ったせいか、不動産屋の妻さんが感じのいい人だったからか、いつになく機嫌のいい様子で色々と口を挟んでくるが、その様子を見て、不動産屋の妻さんが「息子さん、発達障害でしょ?」!!
ま、まずい、と、一気にマイナス方向(被害妄想方向?)に想像力が働き、「発達障害者は大家さんからお断りされるかもしれないわね」とか「発達障害者は他の住人に迷惑がかかるし、ちょっとね」などなどの言葉が続くのではないかと、身構える。息子は留守番させて一人で来るべきだったか、いや、息子が住むところなんだからやっぱり息子の希望も取り入れたいし・・などととりとめなく考えていると、不動産屋の妻さんは、
「実はうちの孫もそうなのよ。だからすぐに分かったわ」!!あらら、じゃ、発達障害者に理解があるかも、とホッとして、「うちの子は星槎高校に通っていたんです」と言うと、「そこも考えたけど、うちの子は結局〇〇にしたの」と、発達障害児を受け入れることで知られているらしい学校名を言われる。聞いたことのあるような名前だったが、何しろ、息子に関しては星槎高校一択だったので(二宮にあるということで)、他の日本にずっと住んでいる発達障害児の親(や祖父母)のように、複数の学校から資料を取り寄せたり、見学したりという経験がないので、近辺の発達障害児受け入れ校にはそれほど詳しくないのだ、私は。

で、実家売却に関して「その家、うちの会社で扱わせてもらえないかしら?」と提案される。一応、地元不動産屋に頼んでいる話をすると、「ああ〇〇さんね、知ってるわ」。と実家を見に来てくれた代表取締役と知り合いらしい。同じ業界で横の繋がりとか、あるんだろうな。
実家売却前に私の喫緊の課題は保証会社の審査に通ることであったが、
「もし保証会社の審査に落ちても大家さんがOK出せば、いいんですよね」
「まあ、そうね」
「じゃ、もし審査に落ちたら大家さんを説得してください。無事に借りることができたら、実家の売買をお願いしますよ」
と取引き(いや駆引き?その違いは何だ?)めいた言葉が私の口からひらひらと出て来て、自分でも驚く。
窮鼠猫を噛む?いや、火事場の馬鹿力か?この小心者の私がこんな大胆!(私にとっては)な提案をするなんて。いざ追い込まれれば、このくらいのことは言えるのだな、と自分のことながら感心したのであった。

ただ、地元不動産屋にすでに相談していることもあり、専任媒介契約はできない。一方、専任媒介契約を希望している地元不動産屋を説得し、一般媒介契約にすることはできる。
と、伝えると「それでいいです」ということになり、早速、沖縄にあるという保証会社に保証委託申込書をFAXしてくれることに。なんだか、東京の会社よりユルそうだ。
すでに土曜日の夕方だったので、結果はどんなに早くても月曜だろうなぁ・・。

と、思っていたら、その翌日、日曜の昼過ぎに不動産屋の妻さんから電話がかかって来て「審査、通りましたよ」え?まさか?なぜ?やっぱり沖縄の会社は通りやすいのか??保証人を母にして「一戸建て自己所有」としたのがよかったのか(これから売る予定、なんてもちろん書く必要はないし)。
何れにしても嬉しいことで、息子は一言「よかった。大丈夫だと思っていたけど」とあくまで、楽観的である。

「じゃ、実家をバンバン(?)、売ってください」!
と早速翌日、月曜の午前中に夫さん妻さんそろって二宮の家を見に来てくれた。朝市で買ってきたというレタスを手土産に。

引越し先は無事決まった。これで安心して実家の売却に取り掛かれることになった。





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江草由香

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